炭鉱長屋(炭住)をイメージした「炭住ホテル」に滞在し、炭鉱で使われた私製紙幣にちなんで発行される地域振興券「炭券」でお買い物‐。かつて日本経済を支えた石炭の文化を生かした福岡県筑豊地方のまちづくりプランを、国土交通省九州地方整備局などがまとめた。炭鉱王の旧邸宅や竪坑(たてこう)櫓(やぐら)などの「炭鉱遺産」による活性化を模索する同地方の自治体に近く提案し、観光客の呼び込みにつなげたい考えだ。
同整備局や経済産業省九州経済産業局などは、筑豊炭田の炭鉱王・伊藤伝右衛門旧邸(同県飯塚市)や、昨年上陸が解禁された端島(長崎市)などの炭鉱遺産に、観光客の人気が集まっていることに着目。昨春から産業遺産を活用した地域活性化策に関する調査を開始。大学教授や民間研究機関も交えて、複数の地域活性化策をまとめた。
筑豊地方のまちづくりプランもその一つ。平屋の炭住ホテル、その並びでは、子どもたちが親しんだ紙芝居が催され、坑内作業で疲れた炭鉱マンを癒やした和菓子の店を開店。羽織はかま姿で酒宴や花札を楽しめる施設の整備などユニークなプランを提案している。
こうした体験型施設に加え、点在するぼた山や訓練坑道などの産業遺産、和菓子の工場などを巡るルートを確立させ、地域一帯を「石炭・歴史まちじゅう博物館」とするアイデアも盛り込んだ。
両省は「筑豊プランを成功させ、全国の旧産炭地復興のモデルケースにしたい」と話す。この調査メンバーでつくる連携アドバイザー連絡会委員長の前九州国際大学長の清水憲一教授(日本経済史)も「(プランの実践で)経済効果も期待できる。歴史を学んで地域に誇りを持ち、地元住民や企業にもプランに参加してほしい」と期待している。
=2010/05/19付 西日本新聞朝刊=

